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はせくらじけん
支倉事件
甲賀 三郎
線上閱讀甲賀 三郎《支倉事件(はせくらじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 204,697 字 · 406 頁
そうして、当夜は平然と妻と衾を同じゅうし、枕を並べて熟睡していたのである。品川署もすっかり騙されて、支倉には一片の嫌疑さえかけなかった。
この時は半焼に止まったのだったが、支倉は品川署の署員に十円を贈って書類を胡麻化し、保険会社の外交員に三百円を与えて全焼と云う事に報告させて、巧に保険金の全額を受取った。重ね重ねの悪辣さには驚くの外はないのである。
貞に対する暴行、抑※(二の字点、1-2-22)本事件を巻き起すに至った原因の聖書の窃盗なども、無論すっかり自白したのだった。
彼の不逞極まる罪状や、執拗な逃走振り、それに強情に拒否を続けた態度が態度だっただけ、一旦自白となると、スラ/\と澱みなく潔くすべてを打明けた態度には、署長始め掛員一同すっかり敬服して終った。
彼の長い自白が終ると、庄司署長はホッと重荷を下して、喜びの色に輝きながら云った。
「うむ、よく白状した。これでわしも職務を果す事が出来たし、お前もさぞかし気が晴々した事と思う。この上は神聖な裁判官の審きを受ける許りだ。犯した罪は悔い改めれば消えて終う。然しながら国の定めた掟によって罰は受けなければならない。