輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
はせくらじけん
支倉事件
甲賀 三郎
線上閱讀甲賀 三郎《支倉事件(はせくらじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 204,697 字 · 406 頁
この家屋は浅田の奔走で静子の名義になっていた筈であるが、手続が完了していなかったか、それとも外に仮差押えをする途があったか、兎に角、家はもうどうする事も出来なくなったのだった。
唯一の望みだった家が差押えられて終ったので、静子は茫然として終った。次の面会の時に彼女は悄然として夫にその事を語った。
「家を売ろうと思いましたが、保険会社に差押えられて終いました。もう駄目です」
「なにっ、差押えられた?」
支倉の相好は忽ち変った。彼のいかつい眉が釣上り、眼は爛々と輝いて、無念そうな有様は、流石の静子もタジ/\とする程だった。
「そ、それは本当かっ!」
家を差押えられたと聞いて、支倉の憤怒は一通の事ではなかった。静子はその権幕におじたけれども今更隠す事も出来なかった。
「はい、一昨日差押えられました」
「うむ」
支倉の眼は怪しく光った。
「騙されたのだ。署長に一杯嵌められたのだ」
静子は夫の興奮があまりに激しいので、宥めようとしたが、さっきからこの異様な光景に気づいていた看守は、忽ち二人の間を隔てゝ終ったので、面会はそれ切りになり、静子は夫に一言の慰めをも与える事が出来なかった。