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かいていごじょうほう

改訂御定法

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《改訂御定法(かいていごじょうほう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 29,422 字 · 58 頁

青空文庫

直衛は朝倉老の眼を黙って見返したが、なにも答えずに河本宗兵衛のほうへゆき、明日も白洲の威儀は今日のとおり、と伝えた。

明くる日の白洲では、訴状と諸帳簿、また証文の一つ一つを照合するという、面倒なことをやり、それが済むと、各項目について詳細な訊問を始めた。時服一と揃えとあれば、その反物の名柄から染め色、原価と売価、仕立て賃などまで問い詰めるので、要屋主従はたちまち返答に窮した。

「そのような些末なことまで御訊問とは存じませんので」と要屋喜四郎が答えた、「控えの帳簿をしらべませんければお答えが申上げかねます」

直衛は要屋の顔をみつめたまま、深く息を吸い、静かに吐きだしてから、云った、「――昨日、そのほうに台帳、諸帳簿、証文など、この件に関する書類をとり揃えて持参するようにと、申しつけた筈だが」

要屋主従は平伏した。

「そのほう奉行の申しつけをなんと心得る、おのれの雇人がぐちでもこぼすと心得たか」直衛の声は低くやわらかであった、「――要屋喜四郎、返答を聞こう」

要屋は額を蓆にすりつけて詫びた。

「よし」直衛は頷いた、「お上に手数をかけ、大切な御用の暇を欠かせたことは不届きであるが、このたびは許してつかわす、次の吟味は十五日の同刻、怠慢があってはならんぞ」