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かいていごじょうほう
改訂御定法
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《改訂御定法(かいていごじょうほう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 29,422 字 · 58 頁
立て」
直衛は片手を振り、つくばい同心たちは納得のいかない顔つきだったが、要屋主従をせきたてて白洲から去った。直衛は持っていた刀を、懐紙で念入りにぬぐい、鞘におさめた。
「矢堂家に明寿があるとは、少年のころから聞いていました」と直衛は縁側にいる矢堂玄蕃に向って云った、「――いつかはいちどは拝見したいと思っていたが、このようなときに拝見できるとは思いませんでした、――みごとなお伝えぶり、失礼ながら感服いたしました」
そして同心を呼んで刀を渡すと、座をすべって両手をおろし、朝倉城代の眼を見あげながら、これで裁決を終ると述べ、すばやく立ちあがってその場を去った。
控え所には宗兵衛がいて、むろんいまの裁きを聞いたのだろう、吃驚したような顔で呼びかけたが、直衛は「あとであとで」と首を振り、麻裃のまま役所から出ていった。彼はまっすぐに御殿下の家へ帰り、出迎えた若い家士に佳奈はまだいるかときき、返辞も待たずに、すぐ酒の支度をしてくれと命じた。若い家士はなにか云いかけたが、彼は酒だとどなって居間へはいり、着物をぬぎすてるとそのまま風呂舎へいった。水を浴びるつもりだったが、焚き口の戸をあけて佳奈が顔を出し、湯かげんはどうかと呼びかけた。