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ほうろうき(しょしゅつ)

放浪記(初出)

林 芙美子

線上閱讀林 芙美子《放浪記(初出)(ほうろうき(しょしゅつ))》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 103,349 字 · 207 頁

青空文庫

」

帯を巻いて、ガーゼの浴衣をたゝんで、下へ顔洗いに行くと、腰障子の向うに、十八の花嫁さんは、平和そうに男と手をつなぎあって転がっていた。

昔の恋人かも知れない。

只うらやましい丈で、ミシンの娘さんのような興味はない。

夜。

御飯を焚くのがめんどうだったので、町の八百屋で一山拾銭のバナヽを買って来る。

女一人は気楽だなアー。

糊の抜けた三畳の木綿の蚊帳の中に、伸び伸びと手足を投げ出してヤーマを読む。

したゝか者の淫売婦が、自分の好きな男の大学生に、非常な清純な気持ちを見せる、厖大な本だ、頭がつかれる。

「一寸起きてますか?」

もう拾時頃だろうか、隣のシンガーミシンさんが帰えって来たらしい。

「えゝまだねむれないでいます。」

「一寸! 大変よ!」

「どうしたんです。」

「呑気ねッ、下じゃあの男と一緒に蚊帳の中へはいって眠ってゝよ。」

シンガーミシン嬢は、まるで自分の恋人でも取られたように、瞳をギロギロさせて、私の蚊帳にはいって来た。

いつもミシンの唄に明け暮れする彼女が、私の部屋になんか、めったにはいって来ない行儀のいゝ彼女が、断りもしないで私の蚊帳へもぐり込むと、大きい息をついて、畳に耳をつけた。