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ほうろうき(しょしゅつ)

放浪記(初出)

林 芙美子

線上閱讀林 芙美子《放浪記(初出)(ほうろうき(しょしゅつ))》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 103,349 字 · 207 頁

青空文庫

貴女一人に身も世も捨てた

私しや初恋しぼんだ花よ。

何だか真実に可愛がってくれる人が欲しくなった。

だが、男の人は嘘つきが多いな。

金を貯めて呑気な旅でもしよう。

――此秋ちゃんについては面白い話がある。

秋ちゃんは大変言葉が美しいので、昼間の三十銭の定食組みの大学生達は、マーガレットのようにカンゲイした。

十九で処女で、大学生が好き。

私は皆の後から秋ちゃんのたくみに動く瞳を見ていた。目の縁の黒ずんだそして生活に疲れた衿首の皺を見ていると、けっして十九の女の持つ若さではなかった。

其の来た晩に、皆で風呂にはいる時、秋ちゃんは佗しそうにしょんぼり廊下の隅に立っていた。

「おい! 秋ちゃん、風呂へはいって汗を流さないと体がくさってしまうよ。」

お計さんはキュキュ歯ブラシを使いながら大声で呼びたてた。

やがて秋ちゃんは手拭で胸を隠すと、そっと二坪ばかりの風呂場へはいって来た。

「お前さん! 赤ん坊を生んだ事があるだろう……。」

――庭は一面に真白だ!

お前忘れやしないだろうね、リューバ? ほら、あの長い並木道が、まるで延ばした帯革のように、何処までも真直ぐに続いて、月夜の晩にはキラキラ光る。