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ほうろうき(しょしゅつ)
放浪記(初出)
林 芙美子
線上閱讀林 芙美子《放浪記(初出)(ほうろうき(しょしゅつ))》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 103,349 字 · 207 頁
私は五銭あった銅銭で、駄菓子を五ツ買って来ると、床の中で古雑誌を読みながらたべた。
貧乏は恥じゃあないと云ったものゝあと五ツの駄菓子は、しょせん私の胃袋をさいどしてはくれぬ。手を延ばして押し入れをあけて見る。白菜の残りをつまみ、白い御飯の舌ざわりを空想する。
何もない。
漠々。
涙がにじんで来る。
電気でもつけよう……駄菓子ではつまらないと見えて腹がグウグウ……辛気に鳴る。
隣りの古着屋さんの部屋では、ジ……と秋刀魚を焼く強烈な匂いがする。
食慾と性慾!
時ちゃんじゃないが、せめて一碗のめしにありつこうか。
食慾と性慾!
私は泣きたい気持ちで、此の言葉を噛んだ。
二月×日
芙美子さま。
何も云わないでかんにんして下さい。指輪をもらった人に強迫されて、浅草の待合に居ます。
妻君があるんですけど、それは出してもいゝって云うんです。
笑わないで下さい。その人は請負師で、今四十二です。
着物を沢山こしらえてくれましたの貴女の事も話したら、四拾円位は毎月出してあげると云ってました。
私嬉しいんです。
読むにたえない時ちゃんの手紙の上に、こんな筈ではなかったと、涙が火のようにむせた。