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ぶんだんのすうせい
文壇の趨勢
線上閱讀夏目 漱石《文壇の趨勢(ぶんだんのすうせい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 3,068 字 · 6 頁
すると同圏内で競争が起ります。この競争の刺激によって、作物がだんだん深さを増して来る。種類が同じだから深さ以外に競争のしようがないのであります。
今一つの競争は圏外に新手が出る事であります。これから新たに文壇に顔を出そうと機を覗っている人、もしくはすでに打って出た人のうちで、今までのものとは径路を同じゅうする事を好まない事がないとも限らない。これは今までの作物に飽き足らぬか、もしくは、おれはおれだから是非一派を立てて見せると自己の特色に自信をおくか、または世間の注意を惹くには何か異様な武者ぶりを見せないと効力が少ないとか、いろいろの動機から起るだろうが、要するに模擬者でもなければ、同圏内の競争者でもない。すなわち圏外の敵である。この種の競争者が出て来ると、文壇の刺激は種類と種類の間に起る。種類が多ければ多いほど文壇は多趣多様になって、互に競り合が始まる訳である。
もしこの二種類の競争すなわち圏の内外に互に競争が同時に起るとすると、向後吾人の受くる作物は、この両個の刺激からして、在来のはますます在来の方向で深く発達したもの、新興のは新興の領分で出来得る限りを開拓して変化を添えるようなものになる。