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ぶんがくとせいかつ

文学と生活

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《文学と生活(ぶんがくとせいかつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 17,476 字 · 34 頁

青空文庫

こんな男にとっても、女にとっても不幸な混乱をそのままにうけとっているだけではいられない気持がある。率直に人生のよろこびの泉として性をきらめかせたいと願う者は、人間としての愛とモメントからきりはなして考えることができない。女にとって男を殺し、男にとって女を殺し、半ばひらいた美しい人間の精神とその性を殲滅する戦争こそ拒絶しずにはいられない。性は母性父性にまでひろがって、人間の性の正当なあつかいかたを求めて叫んでいると思う。精神の解放の証拠としての肉体解放というならば、それはとぐろをまいた肉体文学を突破して、先ず性の根元である生命の人間らしい愛と、その自主性の確立――少くとも戦争と失業のない社会を主張するために闘っている肉体の行動が、現代文学のうちにとらえられて自然だと思う。

実さいではみんながそういう風にやっているのだ。組合の活動にしろ戦争反対、ファシズム反対を持するこころもちとその行動、金でいえば五千円の越年資金を闘いとる行動にしろ、みんなその本質は解放を求める人民としての精神が、肉体の行為によってしめされたものである。だのに、どうして文学ではこの実際であるとおりにとらえられないで、肉体の行為が性行為への興味にしか集中されないのだろう。