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ぶんがくにおけるこんにちのにほんてきなるもの

文学における今日の日本的なるもの

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《文学における今日の日本的なるもの(ぶんがくにおけるこんにちのにほんてきなるもの)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 9,792 字 · 20 頁

青空文庫

にふれたからではなくて、山本氏が氏としての誠意と研究とをもってこの社会に対している真実さが、読者とこの作者とを繋いでいるからである。スタイルだけのことではない。

作家も民衆の一人として、知らしむべからず風な境遇におかれていることについて、林氏もふれている。氏は、そのことで益々大人になること、知る境遇になりたいことを刺戟されている模様である。同じような点に、島木健作氏もふれている。島木氏は、今日の作家のそのような姿こそ、そのままで却って積極的なものを語る場合がないとは云えないと云っている。唐人お吉が自分の惨めな生存そのもので当時の社会に抗議しているように、作家の惨めな姿そのものが抗議であると。

だが、このことも、自身の置かれている境遇を自覚し、抗議として生存している明瞭な意欲と、それに応じた動きがあって客観的になりたつことであると思う。

日本の文学は明らかに一つの画期に来ているのであるが、「抽象的情熱」によって日本的なものを探求しつつある作家たちが、生活の必要から具体的にはどのように動くのであろうかと、注目をひかれる。より多く、より深く我が骨を埋むべき日本を具体的に知ろうと欲しているもの、愛こそは具体的であると信じているものにとって、人間的にも作家的にも教訓ふかき眺めであると思っている。