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ぶんがくにあらわれたるとうほくちほうのちほうしょく

文学に現れたる東北地方の地方色

佐左木 俊郎

線上閱讀佐左木 俊郎《文学に現れたる東北地方の地方色(ぶんがくにあらわれたるとうほくちほうのちほうしょく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 6,298 字 · 13 頁

青空文庫

村役場と駐在所が中央程に向合つてゐて、役場の隣が作右衛門店、萬荒物から酢醤油石油莨、罎詰の酒もあれば、前掛半襟にする布帛もある。箸で断れぬ程堅い豆腐も売る。其隣の郵便局には、此村に唯一つの軒燈がついてゐるけれども、毎晩黙火る譯ではない。」

この一節の中で、最も興味を引くのは、役場の隣の店の「……箸で断れぬ程堅い豆腐も売る……」というところであります。このような部落の風景や、このような居酒屋は、他の地方にも無いとは言い難いのでありますが、堅い豆腐は東北の名物ともいうべき独特のものであります。

東北の冬を描いて雪を取り入れない人は殆んどいないようです。

久米正雄『雪の驛路』

「雪を被つた、そして処々眞黒な屋根々々が、不揃ひに並んだS町の向うには、狭い町幅をすぐ越えて、一面の田野が処々に杜を黒ませたり、畔のやうな区畫を見せたりして、広く続いてゐた。そして其盡きるあたりに、黒い帯を曳いて、可なり大きな川が流れてゐた。それから先きは丘上りに、段々高くなつて行つて、其向うを劃つてゐるのは、襞の多い屏風のやうな連山だつた。その山々の頂は斜に洩れた日を受けて、寒さうにきらきら光つてゐた。