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ぶんがくにあらわれたるとうほくちほうのちほうしょく

文学に現れたる東北地方の地方色

佐左木 俊郎

線上閱讀佐左木 俊郎《文学に現れたる東北地方の地方色(ぶんがくにあらわれたるとうほくちほうのちほうしょく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 6,298 字 · 13 頁

青空文庫

にいたしましても、僅かに二百四十年ばかり、徳川中期のことであります。それも、あのような紀行記ではあり、芭蕉の主観があまりに勝ち過ぎていて、地方色が出ているとは言い難いのであります。遠く『日本書紀』や『万葉集』や『古今集』などにも、既に東北地方は紹介されてはいるのでありますが、それは記録としてであり、感想としてでありまして、本当に東北地方の地方色の紹介されましたのは、やはり、明治以降というべきであります。

併し、古い時代の伝説や説話などにも、既に東北地方の東北地方らしい雰囲気――いかにも東北地方らしい味わい――というようなものが出ていまして、それが現代文学の上に縦に繋がっているということは、興味深いことであります。

東北地方のそういう記録、伝記、昔話などのうちで、就中、黄金に関するものや、産馬に関するものや、馬鹿聟に関する話など、現代文学に繋がるもののうちでは最も面白いもののようでありますが、黄金に就いては「黄金花咲くみちのくの……」というような歌もありますように、昔の人達は、東北地方をば自然金の産地のように思っていたようであります。黄金産出のことを記録してある最も古いものは『続日本紀』