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ぶんがくにあらわれたるとうほくちほうのちほうしょく

文学に現れたる東北地方の地方色

佐左木 俊郎

線上閱讀佐左木 俊郎《文学に現れたる東北地方の地方色(ぶんがくにあらわれたるとうほくちほうのちほうしょく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 6,298 字 · 13 頁

青空文庫

陸奥や出羽から良馬の出たことは、『続日本紀』や『類聚三代格』などにも見えていますし、とにかく、東北地方から良馬を産出したことは早くから知られていまして、藤原俊成なども『長秋詠藻』の中で「みちのくのあらのの牧の駒だにもとればとられてなれ行くものを」と詠んでいます。

昔話とか馬鹿聟話とかいうようなものは、風俗学や民俗学の方により多くの繋がりを持ちまして、文学の方にはあまり這入って来ていないようであります。柳田国男氏などは、特殊な研究家でありまして、郷土文芸の発生を、それらの昔話の中に見出そうとしているようであります。仍ち、その昔話こそ、郷土に於ける唯一の文学であるという見方であります。

東北地方の地方色が、曲がりなりにも、文学の上に現れましたのは、やはり、芭蕉の『奥の細道』に於いてのそれを最初のものとしなければなりますまい。

「五月朔日の事也。其夜飯塚にとまる。温泉あれば湯に入て宿をかるに、土坐に莚を敷てあやしき貧家也。灯もなければ、ゐろりの火かげに寐所をまうけて臥す。夜に入りて、雷鳴、雨しきりに降て、臥る上よりもり、蚤蚊にせゝられて眠らず持病さへおこりて消入斗になん。