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ぶんげいのてつがくてききそ
文芸の哲学的基礎
線上閱讀夏目 漱石《文芸の哲学的基礎(ぶんげいのてつがくてききそ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 49,519 字 · 98 頁
なるほど関係を明かにすると云う点より見れば哲学科学の領分に相違ないが、関係を明かにするために一種の情が起るならば、情が起ると云う点において、知の働きであるにもかかわらず文芸的作用と云わねばならんかと思います。ところが知を働かして情の満足を得るためには前に説明した通り感覚的なものを離れて、単に物の関係のみを抽象してあらわしてはならんのであります。換言すると文芸的に知を働かせるため感覚的の具体を藉りて来なければ成立しない、具体を藉りてその媒介を待てば知の働きといえどもこれを文芸化するを得べしと云う事になります。そうすると、ここに新しい文芸上の理想が出来上ります。すなわち物を道具に使って、知を働かし、その関係を明かにして情の満足を得ると云う理想であります。この理想を真に対する理想と云います。だからして真に対する理想は哲学者及び科学者の理想であると同時に文芸家の理想にもなります。ただし後者は具体を通じて真をあらわすと云う条件に束縛されただけが、前者と異なるのであります。そうしてこの真のあらわし方、すなわち知を働かす具合も分化していろいろになりますが、おもに人間の精神作用が、(この場合には(一)におけるごとく人間を純感覚物と見做さないのである)あらかじめ吾人の予想した因果律と一致するか、またはこの因果律に一歩の分化