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ぶんげいはだんしいっしょうのじぎょうとするにたらざるか
文芸は男子一生の事業とするに足らざる乎
線上閱讀夏目 漱石《文芸は男子一生の事業とするに足らざる乎(ぶんげいはだんしいっしょうのじぎょうとするにたらざるか)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 3,093 字 · 6 頁
或は、私が身体の健康を害して、坐って居っては何うしても健全になれない。そして私が非常に健康と云うことに重きを置く場合に遭遇する。然うすると何うしても坐って居らなければならぬ文学者と云う者ほど、詰らない稼業はなくなって了う。で、然う云う風に標準は始終変って居るが、それでは、もっと大きな大体の標準を何所に置くかと云うことを話すことになると、前にも云ったように、文学の定義を定めてかからねばならず、文学とライフとの交渉を研究し、ライフの意味や価値を定めた上で、他の複雑した事業と比較して話さねばならぬ。それでは中々難かしくなって来るから、其所の所は言い得ない。結論だけを言うならば、それは極く簡単で、只、吾々が生涯従事し得る立派な職業であると私は考えて居るのだ。
何だか逃げ腰のような、ふわふわした答弁で、中までずんと突き入ってないので、何となく物足らない感じがあるかも知れない。それは中へ入って急所を突いた答えも、すれば出来ないではないが、それでは却って局部局部を挙げて論ずることになって不本意であるから、斯う云う全体を掩うたような答えをして置く。
で、今迄言ったような訳だから、文学は男子一生の事業とするに足らぬとか云う人が出て来ても、些っとも驚くことはない。