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いけぶくろのかい

文藝別冊[総特集]岡本綺堂

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《文藝別冊[総特集]岡本綺堂(いけぶくろのかい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 72,671 字 · 149 頁

青空文庫

(笑う。)

十右衛 はい。

半七 旦那もまあお飲みなさい。よたん坊が二人連れで威勢よく和泉屋へ乗込もうじゃありませんか。

十右衛 (いよいよ困った顔をして。)はい。

半七 (台所に向いて。)おい、おい。なにをしているんだ。早くしねえか。

(亀吉は徳利を持ち、おみのは膳を運びていず。)

亀吉 馬鹿に急ぐんだね。

半七 ゆっくりしちゃあいられねえ。立場だ、立場だ。

亀吉 まだ燗は本当に出来ねえぜ。

半七 冷でもいいから早く持って来い。

亀吉 あい、あい。

半七 どれ、今のうちに衣裳を着かえて置こうか。(起つ。)旦那、かまわずに一杯やっていて下さい。亀、お相手をしろ。

(云いすてて半七は奥に入る。十右衛門はなんだか落着かないような顔をして、あとを眺めている。)

――幕――

第三幕

(一)

京橋具足町の金物屋、和泉屋の店さき。間口の広い大店にて、店さきの土間にも店の左右の地面にも、金物類が沢山に積んである。上のかたには土蔵の白壁がみえて、鉄の大きい天水桶もある。軒には和泉屋と染めた紺暖簾がかかっている。下のかたには町家がつづいて見える。

(第二幕とおなじ日の午頃。店の帳場には四十歳以上の大番頭伝兵衛が帳面を繰っている。