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いけぶくろのかい
文藝別冊[総特集]岡本綺堂
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《文藝別冊[総特集]岡本綺堂(いけぶくろのかい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 72,671 字 · 149 頁
そこで先ずお初を自分の家へ呼びつけて、おだやかに詮議を始めると、女もさすがに江戸っ子ですから、自分よりも年下の六三郎に関係した始末を、ちっとも悪びれずに白状して、親分のお目を掠めたのはわたくしが重々の不埒ですから、どうぞ御存分になすって下さいましと、いさぎよく自分のからだを投げ出してしまいました。これがひどく吉五郎の気に入って、「よく綺麗に白状した。で、おまえは十歳も年の違う六三郎と夫婦になりてえか。」と訊きましたら、お初は「そうなれば自分は本望です。弟だと思って面倒を見てやります。」と、正直に答えたそうです。
それを聞いても吉五郎は憤りませんでした。「よし、お前がそれほどに思っているならば、おれが媒介をして六三郎と一緒にしてやるから、いつまでも可愛がってやれ。しかし相手は子供だ、おまけに旅を廻る芸人だ。いい加減にだまされていちゃあ詰まらねえから、まったく相手の方でもお前を思っているかどうだか、よくその性根を試した上で、おれの方から本人に話をつけてやろう。まあ、そのつもりで待っていろ。」というので、それからひと趣向して六三郎を呼び付けたのです。お初の顔や身体には糊紅を塗って、なぶり殺しにでもされたように拵えて、座敷の隅へころがして置いたのでした。