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いけぶくろのかい

文藝別冊[総特集]岡本綺堂

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《文藝別冊[総特集]岡本綺堂(いけぶくろのかい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 72,671 字 · 149 頁

青空文庫

角太郎は半死半生で唸っているのを、店の若い者庄八と長次郎が介抱している。若い番頭和吉、二十四五歳、千崎弥五郎のこしらえで少しくあとに引きさがって眺めている。同町内の呉服屋のせがれ伊之助は原郷右衛門のこしらえ、酒屋のせがれ三蔵はおかやのこしらえで鬘だけを取り、同じくその傍にぼんやりと坐っている。そのほかに衣裳かづらの損料屋五助、顔師にたのまれて来た役者の三津平、店の若い者四五人と小僧二人、それらが立ったり坐ったりしてごたごたしている。)

庄八 まだお医者は来ないのか。

長次郎 誰かもう一度行って呼んで来い。

庄八 急に怪我人が出来ましたから、すぐにおいで下さいとよく云って来るのだぞ。

小僧一 あい、あい。(下のかたへ出てゆく。)

伊之助 小僧さんひとりが行ったのじゃあ判らないかも知れない。誰か若い衆さんをやったらどうだね。

長次郎 じゃあ、いっそわたしが行って来ましょう。(起ちかかる。)

三蔵 正直に若旦那が大怪我をしましたからと云った方がいいかも知れないぜ。

庄八 そうだ、そうだ。怪我人は若旦那だと正直に云った方がいいよ。

長次郎 わかった、わかった。

(長次郎はあわてて出てゆく。