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どうじ

文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子

室生 犀星

線上閱讀室生 犀星《文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子(どうじ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 177,454 字 · 357 頁

青空文庫

「申しあげるようなものでございませんの。たしかこの辺でしたが。」

内儀は、土塀つづきの小石垣の横合を、夜湿りのした地面の上から探してあるいた。古い城下の、椎や榎やタモの大木のある裏町には、星ぞらがともすれば蔽われがちで、おけらがぶるぶると、溝汁の暗い片かげに啼いていた。

「たしかにこの辺でしたが、こうずうっと行きますと、ぱたりと落しましたので――。」

「お気の毒な、もしや溝のなかにでも飛んだのではございませんか。」

「いいえ、たしかに地面の上でございましたよ。ぱたりと。」

内儀は、うつむきながら、だんだん、溝づたいに、こんどは堀のくぐり戸のそばまで来たが……足を停めた。

「ふしぎなことがございますのね。たしかに落したものが見えないって――。」

おあいは、すこし寒気がした。内儀も捜しつかれて、

「では明日昼のうちにでも、小僧に見に来させますからどうかお休みになって――どうも夜中おさわがせして済みません。」

「いえ。わたくしの方でも気をつけて見て置きましょう。」

おあいは、そう言って潜り戸の方へ寄ったが、内儀は低い声で、

「もう幾つでしょうか。」

「九つをもう廻ったでございましょう。