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どうじ

文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子

室生 犀星

線上閱讀室生 犀星《文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子(どうじ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 177,454 字 · 357 頁

青空文庫

」

「災難だな、」

松岡は二階へめしめしと階段を下りはじめた。階下からも主婦がめしめし上って来たのだった。

「でも一晩じゅう寝つかれないよりも、見廻った方がいい気もちですよ。」

主婦は松岡と二階で落ち合うと、二人とも立ち止った。通りの雨戸からの明りがぼんぼりのように仄明るく浮いて見え、松岡はさむかった。

「たしかに二階でしたよ。」

主婦は同じことを言って、まじまじと松岡の顔を見戍った。松岡は立ったまま、先きに行く気がしなかった。蝋燭を手に持った主婦の顔が片明りで悪鬼のように、あぶらぐんで見えた。

「さむくなりましたね。」

「ええ。」

使わない部屋はどの部屋もざらついて、げじげじ虫が踵に這い込んでいるようで気味わるかった。納屋がわりの六畳の間でこおろぎが一疋、畳の上を飛んでそれにも松岡はぎっくりした。「こんなところへ能く這入り込んだものですね。」主婦は気味わるそうにこおろぎを見すえたが、蝋燭の火かげで大きい暗いかげが一緒に動いていた。

「あなたのお部屋の下でしたよ、物音のしたのは?」

「僕もそう思うんですが、しかし……」

松岡はその部屋へ這入るのが、何故か厭だった。