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どうじ

文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子

室生 犀星

線上閱讀室生 犀星《文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子(どうじ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 177,454 字 · 357 頁

青空文庫

歯の間がすくと息がぬけるので、涙ぐむようなことがなかった。――墓地は、田端の大龍寺にした。子規の墓があり静かだったし、近くておりおり行けるような気がしたからである。

「あそこならおれも埋められてもよい。」そう言い、妻にイヤがられた。――晴れた翌朝私だけ家にのこり、友人も沢山行って葬いが済んだ晩、国から妻の姉が来た。

灰葬には、私、妻、早瀬のおくさん、妻の姉、夏なぞが行った。三河島の河ぶちの暗い溝水に沿い、俥が走った。猫入らずの製造所の板塀にそれの広告文字のかかれているのが、目を惹いた。

骨はかなりな量があった。銀杏の実のような膝がしらや、パイプのような細い足の骨などが、竹箸のさきに触れた。眼を泣き腫らせた妻は、箸のさきに小さい堅いものを引っかけながら、

「歯が出ない出ないと言っていたのに、ほら、こんなに揃っている。」

そう言い、それを拾いはじめた。

「はぐきの中に埋っていた歯は焼いても砕れないんです。」

隠亡は、自分でも馴れた手付で、それの幾つかを拾った。

「歯がないないって言っていたのに。」女はそればかり言い、はぐきを破って出るちからがなかったのだと、口惜しそうに繰りかえした。