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だんそうがん
断層顔
海野 十三
線上閱讀海野 十三《断層顔(だんそうがん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 16,033 字 · 33 頁
帆村は甥と共に、そこを引揚げて彼の事務所へ戻った。
若い甥は、帆村をそっちのけに昂奮していた。帆村はそれをしきりになだめながら順々に仕事をつづけていった。
「こうなれば、谷間シズカ夫人の事件なんか後まわしにするんですね」
蜂葉は、そうするように伯父へ薦めたい一心から、そんな事をくりかえし口走った。
帆村は何とも応えなかった。
いつの間か、夜は更けた。
「おい、出掛けるよ。ついて来るかい」
「行きますとも。ですが、一体どこへ?」
帆村の目あては、例のだらだら坂だった。厳冬であるが、ここは地下街のことだから、気温は二十度に保たれている。
帆村は確信に燃えているらしく、その坂をさっさと昇っていった。
坂を昇り切ろうとしたとき、帆村は甥に合図をした。
二人は突然足を停めると、左へ向きをかえた。蜂葉が、あたり五メートル四方が満月の下ほどの明るさになる照明灯を点じた。帆村の姿も蜂葉の姿も、光の中にむきだしであった。蜂葉の手に光っているピストルまでが……。
「静かに、静かに。あなたが逃げなければ、ピストルは撃ちません」
老探偵は、圧しつけるような調子で、自分に向い合っている醜怪なる顔の男に呼びかけた。