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あたらしきシベリアをよこぎる
新しきシベリアを横切る
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《新しきシベリアを横切る(あたらしきシベリアをよこぎる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 12,232 字 · 25 頁
を、飾らない、主観を混ぜない筆致で短かいいくつかの話に書いてある。
新しい力が、古い根づよいものによって決められ、しかしついにはいつか新しい力が農村の旧習を修正してゆく現実の有様を描いてある。こういう本は字引がいらない。
十一月三日。
時計がまた一時間進んだ。すっかり極東時間――日本と同じ時間になった。モスクワでは、時々夜おそくなるまで何かしていてふと思い出し、
――今日本何時頃だろ。
――今――二時だね、じゃ九時だ朝の。もう学校がはじまってる――
そんなことを話し合った。
だがこのウラジヴォストク直通列車は、二十何時間かもうおくれたのである。本当は今夜ウラジヴォストクについている筈だったのに、恐らく明日の夜までかかるだろう。十日も汽車にのると、半日や一日おくれるぐらい何とも思わない。みんなが呑気になる。そして、段々旅行の終りになったことをたのしんでいる。
――これでウラジヴォストクまでにもう何時間おくれるだろうね。
――五時間は少くともおくれるね。
――まあいいや、どうせウラジヴォストクより先へこの汽車は行きっこないんだ。
廊下で誰か男が二人しゃべっている。