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ふたりのとも
新潮日本文学1 森鴎外集
線上閱讀森 鴎外《新潮日本文学1 森鴎外集(ふたりのとも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,954 字 · 29 頁
二人は小石川に家を持った。
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又一年立った。私はロシアとの戦争が起ったので、戦地へ出発した。F君は新橋の停車場まで送って来て、私にドイツ文で書いたロシア語の文法書を贈った。この本と南江堂で買ったロシア、ドイツの対訳辞書とがあったので、私は満州にいる間、少なからぬ便利を感じた。
私が満州で受け取った手紙のうちに、安国寺さんの手紙があった。その中に重い病気のためにドイツ語の研究を思い止まって、房州辺の海岸へ転地療養に往くと云うことが書いてあった。私はすぐに返事を遣って慰めた。これは私の手紙としては、最長い手紙で、世間で不治の病と云うものが必ず不治だと思ってはならぬ、安心を得ようと志すものは、病のために屈してはならぬと云うことを、譬喩談のように書いたものであった。私は安国寺さんが語学のために甚だしく苦しんで、その病を惹き起したのではないかと疑った。どんな複雑な論理をも容易く辿って行く人が、却って器械的に諳んじなくてはならぬ語格の規則に悩まされたのは、想像しても気の毒だと、私はつくづく思った。
満州で年を越して私が凱旋した時には、安国寺さんはもう九州に帰っていた。