輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しんぱん ほうろうき

新版 放浪記

林 芙美子

線上閱讀林 芙美子《新版 放浪記(しんぱん ほうろうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 247,330 字 · 497 頁

青空文庫

――七十人ばかりの乗客の中に、女といえば、私と取引先のお嬢さんであろう水色の服を着た娘と、美しい柄の浴衣を着た女と三人きりである。その二人のお嬢さん達は、青い茣蓙の上に始終横になって雑誌を読んだり、果物を食べたりしていた。

私と同じ年頃なのに、私はいつも古い酒樽の上に腰をかけているきりで、彼女達は、私を見ても一言も声を掛けてはくれない。「ヘエ! お高く止っているよ。」あんまり淋しいんで、声に出してつぶやいてみた。

女が少ないので船員達が皆私の顔を見ている。ああこんな時こそ、美しく生れて来ればよかったと思う。私は切なくなって船底へ降りてゆくと、鏡をなくした私は、ニッケルのしゃぼん箱を膝でこすって、顔をうつしてみた。せめて着物でも着替えましょう。井筒の模様の浴衣にきかえると、落ちついた私の耳のそばでドッポンドッポンと波の音が響く。

(九月×日)

もう五時頃であろうか、様々な人達の物凄い寝息と、蚊にせめられて、夜中私は眠れなかった。私はそっと上甲板に出ると、吻と息をついた。美しい夜あけである。乳色の涼しいしぶきを蹴って、この古びた酒荷船は、颯々と風を切って走っている。