輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
線上閱讀林 芙美子《新版 放浪記(しんぱん ほうろうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 247,330 字 · 497 頁
私はさんばしの方までおよぐ。燐が燃える。向島のドックで、人の呼んでいる声がしている。こんなことでは、何の運命もない、風琴と魚の町の原稿を東京へ持って行ったところで、ぱっと華咲くようないい日が来るとは信じられぬ。いまひといき、いまひといきと暗い冷い水の方へおよいで行く。
やがて、石段に戻って、素肌にぬるい着物を着る。濡れたものをしぼっていると、うどんのげっぷが出て来る。肌がぴいんと斂って来た気がする。自然な温かい気持ちになり、モウレツに激しい恋をしてみたくなる。いろんな記憶の底に、男の思い出がちらちらとする。
家へ戻ると、階下はみんな出掛けて留守。階下のおばさんも、このごろは昆布巻きの内職をなまけて遊び歩いているとの事なり。
荒破屋同然の二階。裸電気の下で、母と私ははだかになって涼む。燈火の賑やかな上り列車が走って行く。羨ましい。
どうしても東京へ行きたいのだけれども、いまがいま、二十円の金つくりは出来かねると母はしょげている。十円でも出来ればいいのだと思う。蚊いぶしを燃やして、小さい茶餉台にノートを拡げる。もう、あとを続けて書くより仕方がない。甘くてどうにも妙な小説だ。