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めいじびじんでん
新編 近代美人伝 (上)
長谷川 時雨
線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (上)(めいじびじんでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 129,076 字 · 256 頁
わたしは取次ぎをまって佇んでいた。
何処の珈琲店にもある焦茶の薄絹を張った、細い煤竹の骨の、帳と対立とを折衷したものが、外の出入りの目かくしになって、四鉢ばかりの檜葉や槙の鉢植えが、あんまり勢いよくはなく並べられている。その後には白蝋石の小卓が幾個か配置されてある。その卓のとっつきの一つで、小柄な娘がナフキンを馴れた手附きでせっせと畳んでいる。頸に湿布の繃帯をして、着流しの伊達まきの上へ、緋の紋ちりめんの大きな帯上げだけをしょっている女は、掃き寄せを塵取りにとったりして働いていた。やがて、お酒と、煙草と、夜更しと、おしゃべりとで、声がつぶれてしまったのであろうと思われる、不思議な調子の若い男が、短衣で出て来て、キャラキャラした声で来意をたずねた。
短衣の小男は人気者と見えて、すこしの間にみんなから話しかけられていた。階段の下の、酒場の掃除をしている二、三人の娘たちは、その男の名をケンチャン、ケンチャンと呼んでいた。
酒場の娘の一人はこんなことをいっていた。
「随分飲んだわ、なんとかいっちゃ一ぱい、かんとかいっちゃあ一ぱい……」
「……あたしね、一万円あれば八千円で帯を買って、あとの二千円は……とかする」