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めいじびじんでん

新編 近代美人伝 (上)

長谷川 時雨

線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (上)(めいじびじんでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 129,076 字 · 256 頁

青空文庫

、そうしたロマンスは紅葉館の花形であった美姫の、華やかな語りぐさに過ぎまい。情の港のとまり船、さまざまな甘い、かなしい追憶の積荷は、三味線をとって、お相手をして、地を弾いているおしかさんの方にこそ、思いやられることが沢山にある。

おしかさんは数々の人に浅くはなく思われたが、みんなえにしが浅かった。支那の丁汝昌が日本にいるうち、おしかさんの傍を離れかねていた。彼国へ帰ってからも切々な思いは、あの英雄に断腸の文をしたためさせた。あの戦争が起ってからも、あわれな提督はおしかさんを忘れはしなかった。その気持ちをしっているものは丁汝昌の心を察して、わたしにしみじみと語ってきかせたことがある。わたくしはおしかさんと膝組みで、そうした恋のいきさつを聴いて、おしかさん一人について何時か委しく書こうと思っている。わたしはおしかさんの手箱の中には、丁汝昌の秘文が蔵されていないことはなかろうと思っている。

モルガンお雪の名は高かったが、そのモルガンは、本国で恋に破れて来た痛手を、おしかさんによって柔らかく撫でてもらおうと祈ったのだったが、そのころおしかさんは、故近衛篤麿侯爵に思われていたおりなので、モルガンの願いはすげなくされた。