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めいじびじんでん
新編 近代美人伝 (上)
長谷川 時雨
線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (上)(めいじびじんでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 129,076 字 · 256 頁
かの女の死は当然のことである。
私は彼女のことを詩のない女優といったが、あの女の死は立派な無音の詩、不朽な恋愛詩を伝えるであろう。ほんとに死処を得た幸福な人である。
松井須磨子の名は、はじめて芸名をさだめる時に、印刷物の都合でせきたてられたとき、松代から出たのだから松代須磨子としようといったら、傍から、まっしろ(真白)須磨子ときこえると茶化したので、それでは松井にしようといった。するとまた、まずい須磨子ときこえるといった。けれど「まずくっても好い」と小さな紙裂れへ書いて出したのが、大きな名となって残るようになった。
とはいえ彼女はやっぱり慾張っていた。死ぬまで大芝居を打って、見事に女優としての第一人者の名を贏得ていった。乏しい国の乏しい芸術の園に、紅蓮の炎が転がり去ったような印象を残して――
――大正八年四月――