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めいじびじんでん
新編 近代美人伝 (上)
長谷川 時雨
線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (上)(めいじびじんでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 129,076 字 · 256 頁
瀕死の女と、已に死んでしまった男との魂が、その瞬間にも合致していたかいなかったか、それすらももう片方の者が亡なってしまった上は、たしかめる事さえ出来はしない。ああであったろうというのは、縦その折の一人であった人だとて、残った者が代表して言いうる事は出来得ないであろう。ましてそれを、(そうであろう)を(そうであった)にして、鵜呑みにしてしまって、冷罵するのはあまりの呵責ではあるまいか。
そのまた片っぽには、新聞記事を予審調書のようにして、検事のように論じるのもあれば、弁護士以上の熱弁を振って弁護するものもあった。小説以上に仕組んで語るものもあれば、口さきで劇につくりあげて説明するものもある。いずれも揣摩臆測のかぎりをつくしてこの問題は長いこと社会の興味を呼んだ。大正六年中の出来ごとで一般の人心に、男女老若を問わず上下を通じて、こうまで注意された出来ごとはなかった。で、相共に死のうとした二人の人物のうちで、どちらが他人の同情をひいたかといえば、それは自動車の運転手であった倉持陸助という青年であった。この男は即死したゆえもあろうし、対手よりは身分の低いゆえもあろうが、多くの人から同情された。