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めいじびじんでん

新編 近代美人伝 (上)

長谷川 時雨

線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (上)(めいじびじんでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 129,076 字 · 256 頁

青空文庫

そして疵あとは綺麗にぬぐったように癒った彼女は、寛治氏と同道にて歌舞伎座の東の高土間に、臆面もなく芝居見物に来ていたという事を報じた。すこしは気咎めがするようで、幕間にはうつむきがちにしていたが、見物が「鎌子だ」といって視線をむけても格別恥らいもしなかった。寛治氏はさすがに座に堪えかねて、中ごろから姿を消してしまったが、彼女は取すまして最後まで見物してのち、歓楽につかれた体を自動車で邸へと急がせたというのである。

またしても世間は湧立った。不埒な女だというさげすみが此処かしこできかれた。

けれども私はそれは彼女の姉達の見あやまりではなかろうかと思ってやまないのである。

そしてまた彼女は、千葉の病院に在院中も、若き助手などを見ると騒ぎまわって見苦しかったと語った看護婦があった。もしも彼女にそうした行為が誠にあったのならば、それはもう病的なもので、医学上、他の見方があるだろう。私は私としての考察を記して見たまでである。

――大正七年――

附記 五、六年後に、横浜郊外に由緒ありげに御簾などさげた小家があった。その家の女主人は隠遁した芳川鎌子で、若い運転手と同棲していると新聞消息子は伝えた。