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とりをとるやなぎ

新編 風の又三郎

宮沢 賢治

線上閱讀宮沢 賢治《新編 風の又三郎(とりをとるやなぎ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 23,750 字 · 49 頁

青空文庫

ある日夫婦の蜘蛛は、葉のかげにかくれてお茶をのんでいますと、一疋の旅の蚊がこっちへ飛んで来て、それから網を見てあわてて飛び戻って行きました。

すると下の方で

「ワッハッハ。」と笑う声がしてそれから太い声で歌うのが聞えました。

「あぁかいてながのくぅも、

あんまり網がまずいので、

八千二百里旅の蚊も、

くうんとうなってまわれ右。」

見るとそれは顔を洗ったことのない狸でした。蜘蛛はキリキリキリッとはがみをして云いました。

「何を。狸め。一生のうちにはきっとおれにおじぎをさせて見せるぞ。」

それからは蜘蛛は、もう一生けん命であちこちに十も網をかけたり、夜も見はりをしたりしました。ところが困ったことは腐敗したのです。食物がずんずんたまって、腐敗したのです。そして蜘蛛の夫婦と子供にそれがうつりました。そこで四人は足のさきからだんだん腐れてべとべとになり、ある日とうとう雨に流れてしまいました。

それは蜘蛛暦三千八百年の五月の事です。

二、銀色のなめくじ

丁度蜘蛛が林の入口の楢の木に、二銭銅貨の位の網をかけた頃、銀色のなめくじの立派なおうちへかたつむりがやって参りました。