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かえるのゴムぐつ
新編風の又三郎
線上閱讀宮沢 賢治《新編風の又三郎(かえるのゴムぐつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 41,031 字 · 84 頁
「そら、カン蛙さん。取ってお呉れ。ひどい難儀をしたよ。大へんな手数をしたよ。命がけで心配したよ。僕はお前のご恩はこれで払ったよ。少し払い過ぎた位かしらん。」と云いながら、野鼠はぷいっと行ってしまったのでした。
カン蛙は、野鼠の激昂のあんまりひどいのに、しばらくは呆れていましたが、なるほど考えて見ると、それも無理はありませんでした。まず野鼠は、ただの鼠にゴム靴をたのむ、ただの鼠は猫にたのむ、猫は犬にたのむ、犬は馬にたのむ、馬は自分の金沓を貰うとき、なんとかかんとかごまかして、ゴム靴をもう一足受け取る、それから、馬がそれを犬に渡す、犬が猫に渡す、猫がただの鼠に渡す、ただの鼠が野鼠に渡す、その渡しようもいずれあとでお礼をよこせとか何とか、気味の悪い語がついていたのでしょう、そのほか馬はあとでゴム靴をごまかしたことがわかったら、人間からよっぽどひどい目にあわされるのでしょう。それ全体を野鼠が心配して考えるのですから、とても命にさわるほどつらい訳です。けれどもカン蛙は、その立派なゴム靴を見ては、もう嬉しくて嬉しくて、口がむずむず云うのでした。
早速それを叩いたり引っぱったりして、丁度自分の足に合うようにこしらえ直し、にたにた笑いながら足にはめ、その晩一ばん中歩きまわり、暁方になってから、ぐったり疲れて自分の家に帰り