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かえるのゴムぐつ

新編風の又三郎

宮沢 賢治

線上閱讀宮沢 賢治《新編風の又三郎(かえるのゴムぐつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 41,031 字 · 84 頁

青空文庫

林の中はうすいうすい霧のようなものでいっぱいになり、西の方からあの梟のお父さんがしょんぼり飛んで帰って来ました。

*

旧暦六月二十六日の晩でした。

そらがあんまりよく霽れてもう天の川の水は、すっかりすきとおって冷たく、底のすなごも数えられるよう、またじっと眼をつぶっていると、その流れの音さえも聞えるような気がしました。けれどもそれは或は空の高い処を吹いていた風の音だったかも知れません。なぜなら、星がかげろうの向う側にでもあるように、少しゆれたり明るくなったり暗くなったりしていましたから。

獅子鼻の上の松林には今夜も梟の群が集まりました。今夜は穂吉が来ていました。来てはいましたが一昨日の晩の処にでなしに、おじいさんのとまる処よりももっと高いところで小さな枝の二本行きちがい、それからもっと小さな枝が四五本出て、一寸盃のような形になった処へ、どこから持って来たか藁屑や髪の毛などを敷いて臨時に巣がつくられていました。その中に穂吉が半分横になって、じっと目をつぶっていました。梟のお母さんと二人の兄弟とが穂吉のまわりに座って、穂吉のからだを支えるようにしていました。