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かえるのゴムぐつ

新編風の又三郎

宮沢 賢治

線上閱讀宮沢 賢治《新編風の又三郎(かえるのゴムぐつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 41,031 字 · 84 頁

青空文庫

なあに十本も二十本も運んでいるうちにはどれかすぐ燃えつくよ。けれども火事で焼けるのはあんまり楽だ。何かも少しひどいことがないだろうか。」

又その隣りが答えました。

「戸のあいてる時をねらって赤子の頭を突いてやれ。畜生め。」

梟の坊さんは、じっとみんなの云うのを聴いていましたがこの時しずかに云いました。

「いやいや、みなの衆、それはいかぬじゃ。これほど手ひどい事なれば、必らず仇を返したいはもちろんの事ながら、それでは血で血を洗うのじゃ。こなたの胸が霽れるときは、かなたの心は燃えるのじゃ。いつかはまたもっと手ひどく仇を受けるじゃ、この身終って次の生まで、その妄執は絶えぬのじゃ。遂には共に修羅に入り闘諍しばらくもひまはないじゃ。必らずともにさようのたくみはならぬぞや。」

けたたましくふくろうのお母さんが叫びました。

「穂吉穂吉しっかりおし。」

みんなびくっとしました。穂吉のお父さんもあわてて穂吉の居た枝に飛んで行きましたがとまる所がありませんでしたからすぐその上の枝にとまりました。穂吉のおじいさんも行きました。みんなもまわりに集りました。穂吉はどうしたのか折られた脚をぷるぷる云わせその眼は白く閉じたのです。