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しんろう

新郎

太宰 治

線上閱讀太宰 治《新郎(しんろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 6,625 字 · 14 頁

青空文庫

何も無いのが、楽しみなのだ。しみじみするのだ。家の者は、面目ないような顔をしている。すみません、とおわびを言う。けれども私は、矢鱈におかずを褒めるのだ。おいしい、と言うのだ。家の者は、淋しそうに笑っている。

「つくだ煮。わるくないね。海老のつくだ煮じゃないか。よく手にはいったね。」

「しなびてしまって。」家の者には自信が無い。

「しなびてしまっても海老は海老だ。僕の大好物なんだ。海老の髭には、カルシウムが含まれているんだ。」出鱈目である。

食卓には、つくだ煮と、白菜のおしんこと、烏賊の煮附けと、それだけである。私はただ矢鱈に褒めるのだ。

「おしんこ、おいしいねえ。ちょうど食べ頃だ。僕は小さい時から、白菜のおしんこが一ばん好きだった。白菜のおしんこさえあれば、他におかずは欲しくなかった。サクサクして、この歯ざわりが、こたえられねえや。」

「お塩もこのごろお店に無いので、」家の者には、やっぱり自信が無い。浮かぬ顔をしている。「おしんこを作るのにも思いきり塩を使う事が出来なくなりました。もっと塩をきかせると、おいしくなるんでしょうけど。」

「いや、これくらいが、ちょうどいい。