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しんろう

新郎

太宰 治

線上閱讀太宰 治《新郎(しんろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 6,625 字 · 14 頁

青空文庫

新聞に出ている大臣たちの言葉を、そのまま全部、そっくり信じているのだ。思う存分にやってもらおうじゃないか。いまが大事な時なんだそうだ。我慢するんだ。」梅干を頬張りながら、まじめにそんなわかり切った事を言い聞かせていると、なぜだか、ひどく痛快なのである。

或る夜、よそで晩ごはんを食べて、山海の珍味がたくさんあったので驚いた。不思議な気がした。恥をしのんで、女中さんにこっそりたのんで、ビフテキを一つ包んでもらった。ここでおあがりになるのなら、かまわないのですが、お持ちになるのは違法なんですよ、と女中さんは当惑そうな顔をしていた。ビフテキの、ほの温い包みを持って家へ帰る。この楽しさも、ことしはじめて知らされた。私はいままで、家に手土産をぶらさげて帰るなど、絶無であった。実に不潔な、だらしない事だと思っていた。

「女中さんに三べんもお辞儀をした。苦心さんたんして持って来たんだぜ。久し振りだろう。牛の肉だ。」私は無邪気に誇った。

「くすりか何かのような気がして、」家の者は、おずおずと箸をつけた。「ちっとも食欲が起らないわ。」

「まあ、食べてみなさい。おいしいだろう? みんな食べなさい。