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しんろう

新郎

太宰 治

線上閱讀太宰 治《新郎(しんろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 6,625 字 · 14 頁

青空文庫

ゆるせ。太宰治。――

玄関の障子に、そんな貼紙をした事もある。いい加減なごまかしの親切で逢ってやるのは、悪い事だと思ったからだ。自分の仕事も、だいじにしたいと思いはじめて来たからだ。自分のために。学生たちのために。一日の生活は、大事だ。

学生たちは、だんだん私の家へ来なくなった。そのほうがよいと思っている。学生たちは、私から離れて、まじめに努力しているだろう。

一日一日の時間が惜しい。私はきょう一日を、出来るだけたっぷり生きたい。私は学生たちばかりでなく、世の中の人たち皆に、精一ぱいの正直さで附き合いはじめた。

往復葉書で、こんな便りが来た。

――女の決闘、駈込み訴え。結局、先生の作品は変った小説だとしか私には消化出来ない。何か先生より啓示を得たいと思う。一つ御説明を願いたい。端的に。ダダイズムとは結局、何を意味するか。お願いします。草田舎の国民学校訓導より。――

私は返事を出した。

――拝復。貴翰拝読いたしました。ひとにものを尋ねる時には、も少していねいな文章を書く事に致しましょう。小国民の教育をなさっている人が、これでは、いけないと思いました。