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まさことまき

方子と末起

小栗 虫太郎

線上閱讀小栗 虫太郎《方子と末起(まさことまき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,517 字 · 24 頁

青空文庫

その本には、くわしく結いかたが出ていたので、やっと、ながいこと費って、曲りなりにも結いあげた。ところが、下梳きから癖直しをおわって、髷形が出来かかってくると、髣髴と、母の生前の面影がうかんでくる。

争われぬ母子の相似が、老容のなかにかくれていた……。

末起も、結いあげて鏡の顔をみたとき、ふいに、瞼の内側に熱いものを感じた。と、みるみる、写真も髷もいびつに傾いでゆき、ただ視野をふさぐ水紋を見るばかりになった。

(お母さまが、いまお祖母さまの顔のなかに生きている……)

と末起の、心の傷がしくんしくんと疼きはじめる。しかしこれは、ただ末起の感傷に触れたばかりだったか※(感嘆符疑問符、1-8-78)

その夜――義父の謙吉の顔が、夜食の膳でちがっていた。

「末起、お前かね? お祖母さまに、あの髷を結わせたのは……」

「いいえ」

「だけど、お祖母さまは作りもののような人なんだよ。むろん、書けも喋りも出来んのだから、通じるはずはないし……。誰だね、とき……霜やかね? 末起は、誰が髪結いを連れてきたか知ってるだろうが」

末起は、ちょっとの間、窺うように黙っていた。義父は……お祖母さまのいいつけではないという。