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きせいしゅうきょうのそと
既成宗教の外
与謝野 晶子
線上閱讀与謝野 晶子《既成宗教の外(きせいしゅうきょうのそと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 1,797 字 · 4 頁
神を必要とした古代には、当時の智者の中から神の代弁者が現われて威力を持った。その中の狡猾な者は神を利用して人心を収め、兵力を併せ持って、政治的に、経済的に、人間の司配者たる特権を占有し、その最も大なる者は神権と王権とを一身に兼ね備えた。ますます人智が進んで神の存在を疑い初めた時代に入っても神の信仰は王権に由って強制された。
けれども、人間が外在の神を不用とし、それの存在を否定すべく自覚する時代が終に来た。宗教上の聡明な改革者が次第に現われて神の性質が改造され、神を人間性に発見して、基督教の一神、仏教の「唯心の仏」が説かれるに至った。最早人間は客観的に対象として服従し祈拝すべき神を全く持たないのである。天に神は無い、西方に仏は無い。またそれ等のものは教会寺院の中にも聖書経典の中にも無い。私達の内に在る人間の霊性を自尊自敬して仮に「神」と名づけるだけである。
しかし人間の霊性を「神」と称すると否とは人人の自由でなければならない。私個人の実感としては早くから「神」の名を好まない。そう云う人間以上の神秘な名を附けずとも、唯だ精確に、自然に「人間性」と呼ぶことで十分である。