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にほんのでんせつ
日本の伝説
柳田 国男
線上閱讀柳田 国男《日本の伝説(にほんのでんせつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 104,931 字 · 207 頁
この島の神様赤水明神は姫神でした。この水を掬んで歯をお染めになろうとすると水の色が赤錆色であったので、また銕漿水という名前もありました。お社はその泉の前の岩の上にあり、御神体は筆を手に持って、歯を染めようとする女の御姿でありました。不思議なことにはただ手拍子につれて水が湧くというばかりでなく、胃腸の悪い人はこの水を飲むと治り、また皮膚病にも塗れば治ったということは、美濃の伊自良の念仏池などと同じでありました。(日女島考等。大分県東国東郡姫島村)
支那にもこれとよく似た泉が方々にあったそうで、土地によっていろいろの名をつけております。あるところでは咄泉といっておりました。どなると湧き出す清水ということであります。あるところでは笑泉。人が笑い声を出すと水が急に湧いたというので、すなわち驚きの清水も同じ意味であります。喜客泉は、人が来ると喜んでわく清水、撫掌泉といったのは、手を打つとその声に応じて流れるという意味でありました。日本でもぜひ念仏を唱えなければ、湧き出さぬというわけでもなかったのであります。実地に行って見ないと確なことは知れませんが、大抵は周囲の土が柔かで、足踏みの力が水に響いたのではないかと思います。