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なかじきり

日本の文学 2 森鴎外(一)

森 鴎外

線上閱讀森 鴎外《日本の文学 2 森鴎外(一)(なかじきり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 22,092 字 · 45 頁

青空文庫

を照したり。わがはじめて入るドイツ貴族の城のさまいかならん。さきに遠く望みし馬上の美人はいかなる人にか。これらもみな解きあえぬ謎なるべし。

四方の壁と穹窿とには、鬼神竜蛇さまざまの形をえがき、「トルウヘ」という長櫃めきたるものをところどころにすえ、柱には刻みたる獣の首、古代の楯、打ち物などをかけつらねたる間、いくつか過ぎて、楼上にひかれぬ。

ビュロオ伯は常の服とおぼしき黒の上衣のいとひろきに着かえて、伯爵夫人とともにここにおり、かねて相識れるなかなれば、大隊長と心よげに握手し、われをも引き合わさせて、胸の底より出ずるようなる声にてみずから名のり、メエルハイムには「よくぞ来たまいし」と軽く会釈しぬ。夫人は伯よりおいたりと見ゆるほどに起居重けれど、こころの優しさ目の色にいでたり。メエルハイムをかたわらへ呼びて、なにやらんしばしささやくほどに、伯。「きょうの疲れさぞあらん。まかりて憩いたまえ」と人して部屋へいざなわせぬ。

われとメエルハイムとは一つ部屋にて東向きなり。ムルデの河波は窓の直下のいしずえを洗いて、むかいの岸の草むらは緑まだあせず。そのうしろなる柏の林にゆう靄かかれり。