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なかじきり
日本の文学 2 森鴎外(一)
線上閱讀森 鴎外《日本の文学 2 森鴎外(一)(なかじきり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 22,092 字 · 45 頁
緋の淡き地におなじいろの濃きから草織り出だしたる長椅子に、姫は水いろぎぬの裳のけだかきおお襞の、舞のあとながらつゆくずれぬを、身をひねりて横ざまに折りて腰かけ、斜めに中の棚の花瓶を扇のさきもてゆびさしてわれに語りはじめぬ。
「はや去年のむかしとなりぬ。ゆくりなく君を文づかいにして、いや申すたつきを得ざりければ、わが身のこといかにおもいとりたまいけん。されどわれを煩悩の闇路よりすくいいでたまいし君、心の中には片時も忘れ侍らず」
「近ごろ日本の風俗書きしふみ一つ二つ買わせて読みしに、おん国にては親の結ぶ縁ありて、まことの愛知らぬ夫婦多しと、こなたの旅人のいやしむようにしるしたるありしが、こはまだよくも考えぬ言にて、かかることはこのヨオロッパにもなからずやは。いいなずけするまでの交際久しく、かたみに心の底まで知りあう甲斐は否とも諾ともいわるるうちにこそあらめ、貴族仲間にては早くより目上の人にきめられたる夫婦、こころ合わでもいなまんよしなきに、日々にあい見て忌むこころあくまで募りたるとき、これに添わする習い、さりとてはことわりなの世や」
「メエルハイムはおん身が友なり。