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あべいちぞく
日本の文学 3 森鴎外(二)
線上閱讀森 鴎外《日本の文学 3 森鴎外(二)(あべいちぞく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 68,545 字 · 140 頁
と忠利に願った。忠利は聴かなかった。押し返してねだるように願うと、忠利が立腹して、「小倅、勝手にうせおれ」と叫んだ。数馬はそのとき十六歳である。「あっ」と言いさま駈け出すのを見送って、忠利が「怪我をするなよ」と声をかけた。乙名島徳右衛門、草履取一人、槍持一人があとから続いた。主従四人である。城から打ち出す鉄砲が烈しいので、島が数馬の着ていた猩々緋の陣羽織の裾をつかんであとへ引いた。数馬は振り切って城の石垣に攀じ登る。島も是非なくついて登る。とうとう城内にはいって働いて、数馬は手を負った。同じ場所から攻め入った柳川の立花飛騨守宗茂は七十二歳の古武者で、このときの働きぶりを見ていたが、渡辺新弥、仲光内膳と数馬との三人が天晴れであったと言って、三人へ連名の感状をやった。落城ののち、忠利は数馬に関兼光の脇差をやって、禄を千百五十石に加増した。脇差は一尺八寸、直焼無銘、横鑢、銀の九曜の三並びの目貫、赤銅縁、金拵えである。目貫の穴は二つあって、一つは鉛で填めてあった。忠利はこの脇差を秘蔵していたので、数馬にやってからも、登城のときなどには、「数馬あの脇差を貸せ」