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あべいちぞく

日本の文学 3 森鴎外(二)

森 鴎外

線上閱讀森 鴎外《日本の文学 3 森鴎外(二)(あべいちぞく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 68,545 字 · 140 頁

青空文庫

ついそこの柞の森の中です。夜になったら、藁や薦を持って往ってあげましょう」

子供らの母は一人離れて立って、この話を聞いていたが、このとき潮汲み女のそばに進み寄って言った。「よい方に出逢いましたのは、わたしどもの為合せでございます。そこへ往って休みましょう。どうぞ藁や薦をお借り申しとうございます。せめて子供たちにでも敷かせたりきせたりいたしとうございます」

潮汲み女は受け合って、柞の林の方へ帰って行く。主従四人は橋のある方へ急いだ。

――――――――――――

荒川にかけ渡した応化橋の袂に一群れは来た。潮汲み女の言った通りに、新しい高札が立っている。書いてある国守の掟も、女の詞にたがわない。

人買いが立ち廻るなら、その人買いの詮議をしたらよさそうなものである。旅人に足を留めさせまいとして、行き暮れたものを路頭に迷わせるような掟を、国守はなぜ定めたものか。ふつつかな世話の焼きようである。しかし昔の人の目には掟である。子供らの母はただそういう掟のある土地に来合わせた運命を歎くだけで、掟の善悪は思わない。

橋の袂に、河原へ洗濯に降りるものの通う道がある。