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あべいちぞく

日本の文学 3 森鴎外(二)

森 鴎外

線上閱讀森 鴎外《日本の文学 3 森鴎外(二)(あべいちぞく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 68,545 字 · 140 頁

青空文庫

「わしはこれでお暇をする。たしかな手からたしかな手へ渡すまでがわしの役じゃ。ご機嫌ようお越しなされ」

の音が忙しく響いて、山岡大夫の舟は見る見る遠ざかって行く。

母親は佐渡に言った。「同じ道を漕いで行って、同じ港に着くのでございましょうね」

佐渡と宮崎とは顔を見合わせて、声を立てて笑った。そして佐渡が言った。「乗る舟は弘誓の舟、着くは同じ彼岸と、蓮華峰寺の和尚が言うたげな」

二人の船頭はそれきり黙って舟を出した。佐渡の二郎は北へ漕ぐ。宮崎の三郎は南へ漕ぐ。「あれあれ」と呼びかわす親子主従は、ただ遠ざかり行くばかりである。

母親は物狂おしげに舷に手をかけて伸び上がった。「もうしかたがない。これが別れだよ。安寿は守本尊の地蔵様を大切におし。厨子王はお父うさまの下さった護り刀を大切におし。どうぞ二人が離れぬように」安寿は姉娘、厨子王は弟の名である。

子供はただ「お母あさま、お母あさま」と呼ぶばかりである。

舟と舟とは次第に遠ざかる。後ろには餌を待つ雛のように、二人の子供があいた口が見えていて、もう声は聞えない。

姥竹は佐渡の二郎に「もし船頭さん、もしもし」