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あべいちぞく

日本の文学 3 森鴎外(二)

森 鴎外

線上閱讀森 鴎外《日本の文学 3 森鴎外(二)(あべいちぞく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 68,545 字 · 140 頁

青空文庫

と問うた。

「日に三荷苅るはずの柴を、まだ少しも苅りませぬ」と厨子王は正直に言った。

「日に三荷の柴ならば、午までに二荷苅るがいい。柴はこうして苅るものじゃ」樵は我が荷をおろして置いて、すぐに一荷苅ってくれた。

厨子王は気を取り直して、ようよう午までに一荷苅り、午からまた一荷苅った。

浜辺に往く姉の安寿は、川の岸を北へ行った。さて潮を汲む場所に降り立ったが、これも汐の汲みようを知らない。心で心を励まして、ようよう杓をおろすや否や、波が杓を取って行った。

隣で汲んでいる女子が、手早く杓を拾って戻した。そしてこう言った。「汐はそれでは汲まれません。どれ汲みようを教えて上げよう。右手の杓でこう汲んで、左手の桶でこう受ける」とうとう一荷汲んでくれた。

「ありがとうございます。汲みようが、あなたのお蔭で、わかったようでございます。自分で少し汲んでみましょう」安寿は汐を汲み覚えた。

隣で汲んでいる女子に、無邪気な安寿が気に入った。二人は午餉を食べながら、身の上を打ち明けて、姉妹の誓いをした。これは伊勢の小萩といって、二見が浦から買われて来た女子である。

最初の日はこんな工合に、姉が言いつけられた三荷の潮も、弟が言いつけられた三荷の柴も、一荷ずつの勧進を受けて、日の暮れまでに首尾よく調った。