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あべいちぞく

日本の文学 3 森鴎外(二)

森 鴎外

線上閱讀森 鴎外《日本の文学 3 森鴎外(二)(あべいちぞく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 68,545 字 · 140 頁

青空文庫

あくる朝、二人の子供は背に籠を負い腰に鎌をして、手を引き合って木戸を出た。山椒大夫のところに来てから、二人一しょに歩くのはこれがはじめである。

厨子王は姉の心を忖りかねて、寂しいような、悲しいような思いに胸が一ぱいになっている。きのうも奴頭の帰ったあとで、いろいろに詞を設けて尋ねたが、姉はひとりで何事をか考えているらしく、それをあからさまには打ち明けずにしまった。

山の麓に来たとき、厨子王はこらえかねて言った。「姉えさん。わたしはこうして久しぶりで一しょに歩くのだから、嬉しがらなくてはならないのですが、どうも悲しくてなりません。わたしはこうして手を引いていながら、あなたの方へ向いて、その禿になったお頭を見ることが出来ません。姉えさん。あなたはわたしに隠して、何か考えていますね。なぜそれをわたしに言って聞かせてくれないのです」

安寿はけさも毫光のさすような喜びを額にたたえて、大きい目をかがやかしている。しかし弟の詞には答えない。ただ引き合っている手に力を入れただけである。

山に登ろうとする所に沼がある。汀には去年見たときのように、枯れ葦が縦横に乱れているが、道端の草には黄ばんだ葉の間に、もう青い芽の出たのがある。