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あべいちぞく

日本の文学 3 森鴎外(二)

森 鴎外

線上閱讀森 鴎外《日本の文学 3 森鴎外(二)(あべいちぞく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 68,545 字 · 140 頁

青空文庫

この地蔵様をわたしだと思って、護り刀と一しょにして、大事に持っていておくれ」

「でも姉えさんにお守がなくては」

「いいえ。わたしよりはあぶない目に逢うお前にお守を預けます。晩にお前が帰らないと、きっと討手がかかります。お前がいくら急いでも、あたり前に逃げて行っては、追いつかれるにきまっています。さっき見た川の上手を和江という所まで往って、首尾よく人に見つけられずに、向う河岸へ越してしまえば、中山までもう近い。そこへ往ったら、あの塔の見えていたお寺にはいって隠しておもらい。しばらくあそこに隠れていて、討手が帰って来たあとで、寺を逃げておいで」

「でもお寺の坊さんが隠しておいてくれるでしょうか」

「さあ、それが運験しだよ。開ける運なら坊さんがお前を隠してくれましょう」

「そうですね。姉えさんのきょうおっしゃることは、まるで神様か仏様がおっしゃるようです。わたしは考えをきめました。なんでも姉えさんのおっしゃる通りにします」

「おう、よく聴いておくれだ。坊さんはよい人で、きっとお前を隠してくれます」

「そうです。わたしにもそうらしく思われて来ました。逃げて都へも往かれます。