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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
線上閱讀近松 秋江《日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江(うつりが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,306 字 · 300 頁
それよりも急ぐのは今の商売を廃して、綺麗に脚を洗うことじゃないか」
しばらくしてから私はなんどり訊いてみた。すると女も母親も黙っていたが、私が繰り返して、
「ねえ、どうなっているの」というので、女は、
「借金はまだ大分あります」という。
「大分ありますって、どのくらいあるの」
「さあ、まだ千円ちかくありますやろ」
彼女は、わざと陽に反抗の意を表わして、誠意の籠もらないような口吻で、そういう。それで私はまたむっとなり、
「千円?」自分の耳を疑うように、重ねて、言葉を強くして訊いた。
けれども女は黙りこくっている。
「まだそんなにあるの?」私の声は、自然に上ずってきた。「そんなにあるはずがないじゃないか。私があんたを初めて知った四、五年前にそのくらいあると言っていた。そしてそれだけの物は私から一度に纏めてではないが確かに来ている。あれから四、五年も稼いでいて、そのうえそれだけの金も手に入っていて、今になってもやっぱり四、五年前と少しも借金が減っていないというようなことで、それで、あんた、どうするつもりなの?」私は、次の間の長火鉢のところにいる母親にも聞えるように、畳みかけて問いつめた。